編集部日記

4月17日のひとりごと

過日、フランスからの帰国の際、政府が推進している『新型コロナウイルスの水際対策』で、成田空港近くのホテルに3泊4日ほど『軟禁生活』を強いられた。

外出禁止はもとより、廊下に出ることさえ許されず、警備員の方が廊下で24時間見張っている。
それを除けば、三食昼寝付き、インターネット環境完備、電話などの通信も規制なし、部屋の中では何をしていても構わずと、比較的自由な環境である。

普段から出不精でもあり、プロジェクトが立て込んでいるときなどは3日、4日、黙々淡々と仕事をするため、外に出ることを忘れることもあるので、あまり苦にはならないと思っていた。

隔離期間が過ぎ、ホテルをチェックアウトし、成田空港にバスで送ってもらう。
降りた瞬間、なんとも表現しがたい感覚を感じた。
気を抜くと『シャバの空気がうまい!』と声に出してしまうほどの解放感ともうひとつの感覚。

ジェレミー・ベンサムの『パノプティコム社会』、フーコー曰くの『監獄』ではないが、バスから降り、『解放感溢れ、自由を手にした瞬間』でさえ、『恒久的、永続的に監視されているかのような感覚』が確かにあったのだ。
規則的には2週間の『公共機関利用禁止』ではあるが、基本的に監視されているわけではないのに、どこか規則を守ることの動機付けがなされていて、『(監視されているかもしれないから)守る』ことを自然に実行してしまう。

むむむ、なんだか、若干哲学的でむつかしくなってしまったのですが、まあ、心というのは案外『素直』で『正直』であるのだなあと思ったわけです。

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